打撲(打ち身)

打撲とは人や物との衝突や転倒などにより、体の筋肉や血管などが損傷を受けた状態です。

一言で打撲と言っても程度はさまざまで、軽いものから完治するまでに何か月もかかるものまであります。

軽度の打撲は治療せずに様子をみても良いかもしれませんが、重度の打撲の場合は、初期の適切な処置とその後の施術で、痛みの軽減速度や良くなるまでの期間が全く変わってきます。

そして、合併症として骨化性筋炎やコンパートメント症候群などを起こさないようにしていくことが大切です。

打撲をした直後にはRICE(R:安静I:冷却C:圧迫E:挙上)処置を行うのが基本ですが、肉ばなれや捻挫などの処置と違うところは、損傷した筋肉をできるだけ伸ばした状態でアイシングを行います。

※骨化性筋炎:筋打撲や肉離れの後に筋肉部分が骨化する合併症。原因ははっきり分かってはいませんが、腫れや内出血を出さないように初期の適切な処置と、患部の安静が重要と考えます。

※コンパートメント症候群:前腕や下腿の筋区画(コンパートメント)の内圧が骨折や打撲などにより高まり、動脈が閉塞されることによって起きる筋肉や神経の阻血障害。

解決事例

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① 大腿部打撲

「ももかん」とも呼ばれ、サッカーやバスケットなどのスポーツで、相手の膝が太ももの前側に当たる際に負傷することが多くあります。

また格闘技などで、ローキックを何度も太ももで受ける事でも起こることがあり、その場合などは太ももがパンパンに腫れあがり痛みも強くなります。

打撲の初期には腫れや内出血を抑える為にアイシングが大切です。

ビニール袋に入れた氷水や氷嚢などを直接患部に当て20分ほど冷やします。

患部の状態にもよりますが、アイシングは炎症がある2~3日の間は一日3~10回行います。その際に、なるべく膝を曲げて太もも前側を伸ばしながら冷やします。

患部に痛みが残っている、膝が曲がらないなどの治りきらない段階で無理に運動を行うと骨化性筋炎を起こすことがあります。

適切な施術を行うことで、早期の疼痛軽減と膝関節の可動域の改善が見込めます。

治療方法

打撲には鍼灸治療がとても有効です。鍼治療は打撲部分の痛みの軽減に、お灸は腫れを引かせて内出血の吸収を早めます。

加えて患部筋肉の引きつりと膝関節の可動域の改善を目的に手技療法を行います。重度の打撲では太ももの筋力が低下することがあり、その場合には筋力トレーニングを指導します。

② 下腿部打撲

サッカーや格闘技などで足のすねやふくらはぎを蹴られた時などに多く負傷します。初期の処置としては打撲した部分にアイシングを行います。

すねや外側の部分を強く打撲して腫れがひどい場合には、コンパ―トメント症候群に気を付ける必要があります。打撲部分の激しい痛みがある場合、足先のしびれや感覚の異常などがある場合は、直ちに医療機関への受診が必要です。

医療機関では必要であれば筋膜切開を行います。

治療方法

痛みの軽減や腫れを引かせて内出血の吸収を早めるために鍼灸治療を行います。加えて、膝や足首の関節可動域の改善を目的に手技療法を行います。